解散・清算時にも税金を支払わなければならないのは、理解してもらえたと思います。
そこで、解散や清算の申告を行うに当たって、少しでも税額を抑えたい場合にはテクニックが必要になります。
まず最初に消費税についてですが、消費税の課税事業者であるかどうかは2期前の消費税の課税売上高から判断されます。2年前の課税売上高が1千万以上であれば、清算期間中でも消費税を納税する義務がありますので、一般課税事業者であれば、課税時期の消費税率を掛け合わせた金額から経費に掛かる消費税額を差し引いた金額を納税する必要があります。簡易課税事業者であれば、資産売却額について第4種として申告納税しなければなりません。
このような点を考慮して、財産の換価処理を行うことで消費税の納税を免れる可能性があります。
例えば、清算期に土地と建物を換価処分しなければならない場合には、土地売却は非課税売上であり、建物売却は課税売上であるために、一般課税事業者であれば消費税の課税売上割合(課税売上と非課税売上の合計額に占める課税売上の割合)が95%未満となりますから、支払った経費等の支出に掛かる消費税の全額を控除できなくなり、消費税の負担が大きくなってしまいます。
このようなことにならないためには、清算期に入る前までに簡易課税届出書を提出しておくことも視野に入れておく必要があります。建物売却に係る経費と言っても、通常は不動産業者に対する手数料等に限られるでしょうから、売却代金がそれなりに高ければ、売却代金の6割(簡易課税の第4種のみなし仕入れ率)も経費がかかるようなことは考えられませんから、納める消費税額を減らせるかもしれません。
ここで、断定的な言葉を使わなかったのは、非課税売上額が少なかったり、清算に係る経費が多額になる場合には、簡易課税にすることで、むしろ不利になるケースも生じますので、清算期に入る前にシュミレーション計算しておくことをお勧めします。
清算に1年以上かかっても問題なければ、消費税の課税事業者ではなくなってから、資産の売却を行うことも良いかもしれませんが、均等割等の負担額との比較考量をしておくこともお忘れなく。
次に法人税についてですが、清算期間中の所得から過年度の期限切れ欠損金を控除した金額がマイナスならば心配ありませんが、プラスであれば法人税・県民税・事業税・市民税の納付義務が発生しますので、清算期間中の経費支出を考えておく必要があります。
清算期間中は営業に係る経費は支払できません。清算事務に係る人件費や手数料等の支出しか認められませんので、清算人に対する報酬や役員退職慰労金の支払等を行うことで経費を支出することができます。
役員退職慰労金は、個人の退職所得として非課税枠が大きいために清算期における節税対策として最も良く使われている方法ですが、功績倍率等の計算によって限度額を超過しないようにしておく必要があるでしょう。
功績倍率は良く知られている方法ですので、ここでは割愛させていただきますが、計算の基準となる報酬月額の算定については若干注意しましょう。
解散・清算する会社の多くが、事業不振や規模縮小を余儀なくされてきた結果としてのことでしょうから、このような会社の役員報酬額は解散前には、最盛期よりも少ない額となっていることが多いと思います。
このような方達の月額は、解散前の報酬額で計算するのではなく、役員就任から解散までの平均報酬額を基準にして計算することで、役員退職慰労金の額を上乗せするすることができますし、税務調査で指摘されないような無理のない功績倍率を使うこともできるようになるはずです。
平均報酬額を算定するには、過去の申告書は法定期限である7年を過ぎても大切に保管しておくことが必要となりますので、邪魔だからといって破棄しないようにしてください。
最後に配当所得についてです。財産の換価処分を行って、債権債務をすべてきれいにしたところで残余財産があれば、株主に分配することになります。この残余財産の分配は、所得税におけるみなし配当とされていますので、配当所得税の源泉徴収義務が発生し、現在であれば 20.42%の税金が差し引かれることになっています。
残余財産にみなし配当としての税金が課されるのは、残余財産額が税法上の資本金(資本金と資本準備金)を超えた部分ですので、残余財産額を資本金と同額にしておけばみなし配当課税の影響を受けることはないわけです。
従って、資本金と同額だけ残余財産として残すように役員退職慰労金の支払を行えば、みなし配当の手間は必要なくなります。
3つの税目について有利な方法を記述させていただきましたが、ケースによってはここに記述した以外の方法も考えられるかもしれません。困っているようでしたら、ご連絡ください。
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