相続人全員による遺産分割協議を行うことが出来なかった場合や、何度も協議を重ねてもまとまらないような事態に陥ってしまったら、家庭裁判所に分割してもらうしかありません。
このような事態に陥らないようにするのが、予防法学としてお奨めしている遺言書の作成なのですが、自筆で遺言書を作成した方の中には、遺留分を侵害した遺言書も見受けられますので、この場合には、遺留分減殺請求事件として、家庭裁判所のお世話になることになります。
それでは、遺産分割協議が出来ないという事態にはどのような場面で起こるのでしょうか?
考えられる1つの理由が、相続人の所在地が不明の場合です。
毎年、お盆や正月に顔を合わせる親族だけが相続人であれば、このような問題は起きませんが、前の配偶者との間に出来た子や、婚姻届を出していない異性との間に出来た子、怪しい業者にそそのかされて養子縁組した子等について、居場所がわからないという問題が起きることがあります。
相続人であることに違いはないのですから、遺産分割について他の相続人と一同に会して協議しなければ、分割協議書を作成することはできません。
このような場合には、家庭裁判所に分割してもらうほかありません。
もう一つの理由は、相続人が協議の席に着こうとしない場合です。
このような場合にも分割協議そのものができないので、話し合いをすることは諦めて、家庭裁判所に委ねるほかないのかもしれません。
さらに、何度協議しても協議がまとまらない場合も、それ以上協議をしても無駄な時間を費やすだけでしょうから、家庭裁判所に分割してもらうほうが時間的・精神的に楽かもしれません。
しかし、家庭裁判所で審判という申し立て手続きによって強制的に分割してもらったにしても、その審判そのものに不服があれば、審判の書面を受領してから2週間以内に不服申し立て(即時抗告)を行うことができますので、一切妥協したくないという相続人は争いが泥沼化してでも、自身の要求を貫くために不服申し立てをすることが多いようです。
但し、家庭裁判所に分割してもらうというのは、遺産分割の最後の手段だということを肝に銘じておいてください。やはり、相続人どうしの話会いで分割をするのが遺産分割の王道です。
しかし、相続税を納付しなければならない相続であって、相続税の申告期限である被相続人の死後10ヶ月を過ぎてもなお分割ができそうにないという状況であれば、早い段階から家庭裁判所に委ねることを検討しましょう。
たとえ、申告期限を超えてしまったとしても、申告期限から3年以内、つまり被相続人の死後3年10ヶ月以内に分割することができれば、分割がされたことを知った日の翌日から4ヶ月以内に修正申告或いは更生の請求書を税務署に提出すれば、配偶者の相続税額の軽減措置等の優遇措置を受けることができます。
昔からのことわざで、「血で血を洗う」や「骨肉相食む」という言葉がありますが、血縁関係のある者同士が争うと、他人同士よりも更に悪い状況に陥り泥沼化して長期化する恐れがありますので、被相続人の死後3年10ヶ月を過ぎないように、司法に委ねるのも大切なことです。
家庭裁判所に遺産を分割してもらうのには、通常『調停』の申し立てを行うことになります。
この調停を経ずに、『審判』の申し立てを行うこともできますが、円満な解決を図ってもらいたいということで、いきなり審判というステージに上げるのではなく、調停というステージに一度立ってもらって当事者間が納得した上での解決を促しています。
調停の申し立ては、相続人の一人が他の相続人全員を相手方として、他の相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
また、審判の申し立てならば、被相続人の住所地の家庭裁判所に申し立てることもできます。
申し立ては、家庭裁判所に備えてある用紙に必要事項を記入すれば良いのですが、書き方が判らないという方は窓口で教えてもらってください。
しかし、このページをご覧いただいているということは、インターネットを使える環境にあるわけですから、次の最高裁判所のホームページから、用紙と記入方法についてダウンロードしてもらえば良いでしょう。
調停も審判も申し立て用紙は同じですので、記入例を見ながら記入してください。
遺産分割の調停・審判の申立書
遺産分割の調停・審判の申立書記入例
『調停』とは、第三者である家事審判官と調停委員が、争いの当事者たちの間に入って話し合いが進められるように、助けることで問題の解決を図ろうという制度です。
審判は、裁判官が職権で事実を調査して、各相続人が相続する財産を決定するものです。
を添付しなければなりません。
(2)被相続人の除籍謄本と、(3)相続人の戸籍謄本は、各々の本籍地の区役所や市役所、若しくは町村役場に依頼すれば取り寄せることが出来ます。
問題は、(1)遺産目録ですが、こちらはご自身で作成しなければなりませんので、簡単に説明させていただきます。
この遺産目録は、調停及び審判の申し立てに際して、申立書をダウンロードしていただいたサイトに、PDFで準備されていますので、こちらをダウンロードして記入してください。
土地の遺産目録記入用紙
建物の遺産目録記入用紙
土地及び建物の遺産目録記入に当たっては、次の資料を取り寄せて記入してください。
被相続人の全ての不動産について記載する必要がありますが、建物を登記されていない方もいるので、法務局から登記簿謄本を取り寄せただけでは全てを網羅できません。
従って、毎年5月に市役所等から送られてくる固定資産税の通知書を基に、不動産の所在地にある法務局から登記簿謄本を取り寄せ、不動産の所在地の市役所等か被相続人の名寄帳を取り寄せれば、登記されていない建物についても記載することができるようになります。
名寄帳に記載があるにもかかわらず、登記簿謄本がない物件は、市役所等から固定資産評価証明書を取り寄せて、添付する必要がありますので、お忘れなく。
また、土地を所有していなくても借地権を設定している場合もありますので、借地等の登記簿謄本も取り寄せておきましょう。
これらの資料を基に、遺産目録に記入していけば良いのですが、記入例は下記のリンクをご覧ください。
申立書と遺産目録の記入例
現金預金と株式等の遺産目録の記入に当たっては、次の資料を取り寄せて記入してください。
これらの資料を基に、記入例を参考に記入しましょう。
基本的には、これで遺産目録は記入できますが、特別受益と呼ばれる生前贈与等の財産があれば、土地や建物又は現預金・株式等の3種類の遺産目録について、遺産目録の上にある特別受益目録の欄にレ点を付けて、別途特別受益目録を作成しなければなりません。
必要書類がすべて揃い、申し立て内容の記載ミスがないかどうかを確認してから、申し立て人に記名押印して、収入印紙1,200円を申立書に貼り付け(押印や割印はしないでください)、提出すればOKです。
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