平成25年の税制改正により、平成27年1月1日より相続税改正(改悪)が実施されることが決定されました。
これに伴い、不動産会社や建築会社、生命保険会社、金融機関、税理士法人等が盛んに新聞紙上にセミナーの広告を掲載するようになりました。
更に、書店に足を運ぶとエンディングノートが高く積まれており、ベストセラーとなっています。また、葬祭センターが『終活がまだでしょ』というキャッチコピーを使ってテレビCMを放映したりしています。
このように、必ず訪れる人の死に伴って発生する『相続』という問題について、巷には溢れんばかりの情報が流れていますが、皆さんはこれらの情報をそのまま鵜呑みにしていないでしょうか?
不動産会社の相続セミナーでは、土地の有効活用をすれば相続税が抑えられますとか、アパートを建築すれば節税対策になりますといった宣伝文句を使って、巧みに自社の売上を伸ばそうとしています。
もちろん、セミナー参加者がそれらの話を聞いて納得して対策をするのですから、自己責任の範囲で業者を責められるわけではありません。
しかし、自己責任だからこそ、しっかりとした知識を身に付けた上で、対策を取ってもらいたいと思います。
そこで、『相続』という一生に何度もあるわけではない出来事を経験する前に、現代の日本における相続事情や、さまざまな業者が主催している各種セミナーの特徴、相続対策の在り方、民法上の相続と相続税法との違い、相続税における財産価額を把握する方法といった点を説明したいと思います。
なお、最初に申しあげておきますが、当事務所では財産を所有している方の生活を守ることと、相続人同士が争わないように円満に相続を進めることが、相続のおいて重要なことであると考えていますので、節税を主体にした相続の対策は、お奨めしておりません。
もちろん、税理士事務所としては相続税申告に関わらせていただくことで、申告書作成報酬等を得ることで事務所活動に必要な資金をご請求させていただくのが、事務所運営上は大事なことであります。
しかし、相続人同士がいがみ合い裁判沙汰になるような相続に関わってまで、相続税の申告書作成を受任しようなどとは思いません。
財産を所有している方が、お亡くなりになるまで安心して生活できるような資金は、老後の必要資金として費消してもらい、イザという時のために事前の対策を講じて、相続人同士の争いの火種をもみ消しておくことで、事後処理ともいえる相続税の申告をスムーズに進めることこそ、相続対策について相談を受けた者の使命であると考えています。
そのため、節税対策を前面には出していない税理士らしからぬ内容となっていますので、ご容赦ください。
相続専門のFacebookとして、相続に関する知識を得て貰うことを目的としています。
相続専門のFacebookとして、相続に関する知識を得て貰うことを目的としています。
現在の日本社会は、先進諸国の中でも最も高齢化が進んでいる社会であり、戦中或いは戦後すぐの時代において幼少期を過ごし、戦後の復興の原動力となってきた方々が、歳を重ねて現在の高齢化社会の中心的存在となっています。
平成24年には、日本の高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)は24.1%という先進諸国の中でも飛びぬけた数字を示しており、5人に1人以上が高齢者となっています。
2010年の世界の主要各国の高齢化率は次のようになっています。
国 | 高齢化率 |
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日本 | 22.7% |
イタリア | 20.4% |
ドイツ | 20.4% |
フランス | 16.8% |
イギリス | 16.6% |
カナダ | 14.1% |
アメリカ | 13.1% |
ロシア | 12.8% |
韓国 | 11.1% |
中国 | 8.2% |
※「World Population Prospects,the 2010 Rivision」による資料を基としています。
しかし、命あるものは必ずその灯火が尽きるものですから、人の肉体も必ず朽ちて亡くなるものです。
平成22年の日本の平均余命が、男性79.64歳、女性86.39歳という年齢になっていますが、これはあくまでも平均余命であって、自分自身が平均余命に達するまで長生きできるかどうかなど判りもしません。
そこで、いわゆる高齢者(65歳以上)になったら、老後のことと相続のことを考えておくのが、自分よりも若い世代のためであり、高齢者の責務であると思います。
しかし、まだ肉体的にも精神的にも元気なうちに、相続のことを考えるなどということは考えたくもいないはずですし、考える必要などないと思っている方も少なくないでしょう。
そのような方のために、日本の相続に関する統計資料をまとめてみましたので、ご覧ください。
相続統計資料
相続セミナーと銘打ったセミナーが、ここのところ多く開催されていますが、セミナーを主催している業者の思惑というものが必ずそこにあります。
そこで、セミナーの主催者によってどのような特徴があるのか、どのような内容のセミナーなのか、主催者の開催した目的は何なのかといった点について考えてみたいと思います。
特徴 | 相続財産である不動産を使った節税対策を力説したセミナー |
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内容 | 不動産の遺産に占める割合は50%を超えているケースが多いということをセミナー参加者に最初に理解してもらうことが多いようです。そして、不動産の有効利用をすることで、土地を遊ばせておくよりも相続時の財産評価額を抑えられるという内容が主体となります。不動産の有効利用とは、土地や預貯金をそのまま所持しているよりも、預貯金で賃貸建物の建築を行ったり、土地の借地契約を結ぶことで、相続時評価額を下げられるから、不動産を有効活用こそが相続税の節税対策であるということをセミナー参加者に理解してもらう内容になっています。 |
目的 | 相続財産である不動産を有効活用してもらうことで、自社の仲介手数料売上や、建築会社とタイアップした不動産管理手数料売上を伸ばすことを目的としている |
特徴 | 賃貸アパート経営による相続財産の評価減と不労所得を力説したセミナー |
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内容 | 賃貸アパートを建築すれば、預貯金で所持しているよりも建物の評価額は低くなって相続財産を抑えることが出来るという点や、借入をすれば借入金はマイナスの財産となるという点、更にはアパートの底地についても土地を遊ばせておくよりも相続財産としての評価額を抑えられることをセミナー参加者に理解してもらうような内容となっています。しかし、セミナー参加者にとって最も魅力的なのが、アパート経営をすることで不動産所得という不労所得を得られるという、甘い文句だと思います。汗水流さずに収入を得られるというのは、何時の時代でもとても魅力的な言葉に違いありません。 |
目的 | 賃貸アパートを建築してもらい、アパート建託による自社の工事売上、管理収入等の各種売上を伸ばすことを目的としている |
特徴 | 相続税における生命保険活用のメリットを力説したセミナー |
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内容 | 相続税では生命保険料控除という控除があり、相続人1人当たり500万円の控除が認められているので、預貯金を所持しているよりも生命保険に加入したほうが節税になるという内容が主体となります。また、生命保険を受け取る人を孫等の相続人以外の者を指定することができる旨と、相続税の納税資金として生命保険に加入するのが得策である旨の内容を盛り込むことが多いようです。 |
目的 | 相続税対策として、生命保険に加入していただくことを主目的としている |
特徴 | 遺産の信託を力説したセミナー |
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内容 | 遺産として残す財産を安全に保管する大切さを理解してもらい、相続手続きを金融機関に代行してもらうメリットを理解してもらうような内容が多いようです。また、平成25年から始まった、金融機関のみが代行できる『教育資金贈与』と併せて、贈与資金の管理を委託してもらうための内容も盛り込まれることがあります。 |
目的 | 遺産の信託・管理業務を依頼してもらうことを目的としている |
特徴 | 相続手続きを力説したセミナー |
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内容 | 相続に当たって、事前対策としての遺言書の作成を促す内容となっています。遺言書を作成しても不備があれば遺言書としては認められてもらえないことから、遺留分等について争いが無いような遺言書を作成代行をすることで、円満な相続手続きをできるような内容になっています。 |
目的 | 遺言書作成を引き受けることで、相続後の登記を依頼してもらうことを目的としている |
特徴 | 相続税の節税を力説したセミナー |
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内容 | 相続税の改正を機に、これまで相続税の申告が必要なかった方にも申告の必要が生じることから、相続税の節税対策を中心とした内容になっています。事業経営をされている方向けには、事業承継の話を交えた相続対策といった内容になっているケースもあります。 |
目的 | 相続税の申告書作成を依頼してもらうことを目的としている |
相続対策として、皆さんはどのような対策を取られているでしょうか?
まだ、何も対策を講じていないという方から、すでに各種セミナーに参加して打てる対策を既に講じている方までさまざまだと思います。
まだ、何も対策されていないという方はこれからどうやって対策を講じればよいのか、既に対策を打っている方はこれまでの対策に間違いがなかったのかという点についてご確認いただければ良いのではないかと思い、相続対策の在り方などという、大それた見出しをつけてしまいました。
本来の相続対策を今一度、見直すきっかけになれば幸いです。
そこで、本来の相続対策とはどのような対策をいうのかといった点や、各種セミナーで勧められた対策が本当に対策として最良の策であったのかといった点を、次のページでご確認ください。
相続の対策とは
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