相続財産における有価証券を大別すると、株式、出資金、公社債に区分されます。
これら3つの区分について説明しますが、株式の中でも、上場していない会社の株式評価は複雑ですので、取引相場のない株式の評価のページをご確認ください。
株式は、次の3種類に区分されます。
上場株式 | 金融商品取引所(金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条≪定義≫第16項に規定する金融商品取引所をいう)に上場されている株式 | |
気配相場の ある株式等 | 登録銘柄 | 日本証券業協会の内規によって登録銘柄として登録されている株式及び店頭管理銘柄として指定されている株式 |
公開途上にある株式 | 金融商品取引所が内閣総理大臣に対して株式の上場の届出を行うことを明らかにした日から上場の日の前日までのその株式及び日本証券業協会が株式を登録銘柄として登録することを明らかにした日から登録の日の前日までのその株式 | |
取引相場の ない株式 | 上場株式及び気配相場のある株式等以外の株式 |
そして、株式に関する権利も株式同様に扱われます。
株式の割当てを受ける権利 | 株式の割当基準日の翌日から株式の割当ての日までの間における株式の割当てを受ける権利 |
株主となる権利 | 株式の申込みに対して割当てがあった日の翌日(会社の設立に際し発起人が引受けをする株式にあっては、その引受けの日)から会社の設立登記の日の前日(会社成立後の株式の割当ての場合にあっては、払込期日(払込期間の定めがある場合には払込みの日))までの間における株式の引受けに係る権利 |
株式無償交付期待権 | 株式無償交付の基準日の翌日から株式無償交付の効力が発生する日までの間における株式の無償交付を受けることができる権利 |
配当期待権 | 配当金交付の基準日の翌日から配当金交付の効力が発生する日までの間における配当金を受けることができる管理 |
ストックオプション | 会社法第2条第21号に規定する新株予約権が無償で付与されたものをいう。(但し、その目的たる株式が上場株式又は気配相場等のある株式であり、かつ、課税時期が権利行使可能期間内にあるものに限る。 |
株式を評価する際の方法を峻別するのは、証券市場(マーケット)で取引が行われているかどうかという点です。
マーケットにおいて不特定多数の株主によって売買されていれば、その売買価格によって評価するのが妥当ですが、不特定多数の者が株式の売買ができないような株式は、会社の支配権の有無に基づいて評価せざるをえないと考えています。
ここで、株式が売買されている市場とは、次の市場のことを指します。
取引所 | 市場名 | 市場の特徴 |
東京証券取引所 | 市場第一部 | 日本を代表する株式市場。大企業向けの市場。国内の約90%以上がここで取引される |
市場第二部 | 東証一部に上場する一歩手前の企業が上場している。中堅企業向けの市場 | |
マザーズ | ベンチャー企業(新興企業)向けの市場 | |
大阪証券取引所 | 市場第一部 | 関西に拠点を置く大企業向けの市場 |
市場第二部 | 大証一部に上場する一歩手前の企業が上場している。関西地区の中堅企業向けの市場 | |
ヘラクレス | 大証一部と二部へ上場する一歩手前の、関西地区の中堅企業とベンチャー企業向けの市場 | |
名古屋証券取引所 | 市場第一部 | 名古屋周辺、中京地区に拠点を置くの大企業向けの市場 |
市場第二部 | 名証一部に上場する一歩手前の企業が上場している。名古屋周辺、中京地区の中堅企業向けの市場 | |
セントレックス | 2001年に開設した、ベンチャー企業向けの市場 | |
札幌証券取引所 | 既存市場 | 北海道に拠点を置く有力企業向けの市場 |
アンビシャス | 2001年に開設した、ベンチャー企業向けの市場 | |
福岡証券取引所 | 既存市場 | 福岡周辺に拠点を置く有力企業向けの市場 |
Q-Board | 2000年に開設した、ベンチャー企業向けの市場 | |
JASDAQ証券取引所 | 中堅企業やベンチャー企業向けの市場 |
上記の市場で売買される株式は、次のとおり評価することになります。
原則的評価
証券会社を通して購入した上場株式や、上場する前から所有していた上場株式については、原則的な評価を行うことになります。
次の4つの価額のうちで、最も低い価額を評価額とします。
① | 課税時期の最終価格(終値) |
② | 課税時期の属する月の毎日の最終価格(終値)の月中平均 |
③ | 課税時期の属する前月の最終価格(終値)の月中平均 |
④ | 課税時期の属する前々月の最終価格(終値)の月中平均 |
個人間での相対取引により取得した場合
証券会社を介さないで、個人間での相対取引により対価を支払って購入した株式は、上記の取扱いとは異なり、4つの価格の中から最も低い価格で評価することはできません。
上記の表の、①課税時期の最終価格(終値) のみで評価します。
なお、株式購入資金を借入等で調達した株式を、借入金と一緒に贈与するような場合を『負担付贈与』といいますが、この場合も ①課税時期の最終価格(終値) のみで評価します。
課税時期の最終価格について
課税時期、すなわち相続開始日が土曜又は休日であったり、証券取引所での売買がなくて価格がついていない場合には、どうすれば良いのでしょうか?
この場合には、課税時期に最も近い日の最終価格が該当することになります。つまり、課税時期の前日以前と翌日以降において取引があった日のうちで、最も近い日の最終価格を採用します。
例えば、土曜日が課税時期であれば金曜日の最終価格が、日曜日が課税時期であれば月曜日の最終価格が評価価格となります。
それでは、水曜日が祭日で、祭日が課税時期の場合や、土・日・月曜日が三連休に当たる時の日曜日が課税時期の場合はどうなるのでしょうか?
この場合には、最も近い日の最終価格は、課税時期の直前と直後の双方に存在しますので、二つの価格の平均によって、評価することになります。
月間相場表の確認について
各証券取引所では、月間の相場表データをインターネットで提供していますので、下記リンク先をクリックしてご確認ください。
気配相場という言葉を初めて聞かれる方もいらっしゃると思いますが、これは相続税法上の用語ですので、覚えなくても大丈夫です。
一般的な用語を使うと、登録銘柄や店頭管理銘柄と呼ばれている株式と、公開途上にある株式のことです。
登録銘柄
登録銘柄とは、成長・ベンチャー企業向けの市場として整備(1983年)され、店頭売買有価証券市場(店頭登録市場、店頭市場)という名称で、証券取引所市場の補完的市場として位置づけられていたものです。当時は証券取引所ではなかったため、店頭登録銘柄とすることを店頭公開と言いました。
現在では、旧JASDAQと、ヘラクレス、NEOの合計3市場を市場統合して、新たな「JASDAQ市場」となっています。JASDAQでは損益や規模など企業の実績を踏まえて上場する「スタンダード市場」と、企業が赤字でも将来性を見越せば上場できる「グロース市場」の2部構成となっています。
このように、店頭銘柄という言葉そのものが旧態として残っているものの、評価方法は上場株式と何ら変わりません。つまり、通常であれば原則評価であり、個人間の譲渡や負担付贈与の場合は課税時期の最終価格となります。
公開途上にある株式
株式公開の途中で相続が開始してしまった場合には、まだ株式市場での売買がありませんから、上場株式と全く同じ取扱いはできません。
従って、幹事証券会社が市場に通知した、株式公開価格が評価価格となります。
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